染の北川

娘の学校は前期後期制なので只今短い秋休み中。
そんな娘と二人で京都へ行って来ました。
(アタシの影響ですけど)母娘共に着物好きなもので呉服屋さん探訪ツアーでございます。
娘はまだ高校生ですけど、成人式の着物をどうするか?そろそろ考えてかないといけませんし。ということで、下見というか、どんなものがあるのか娘の好みはどんな風か、とにかく着物は数見ないと目が肥えないと思うのでまずは娘に色んな着物を見せるのが今回の主な目的。

近所の貸衣装屋さんでチラッと見せてもらったら一式借りると10万円前後(勿論ピンキリなんだけど)も必要で、今風の柄のアタシの好みには合わないものが多い。
それだけの金額を払って娘に着せたいと思うようなものは一枚もありませんでした。
しかし古典柄の質の良いものは貸衣装では少ないし、お値段もそれなりにお高い。
アタシの着た振袖もアタシの妹の着た振袖も実家に残ってはいるけれど、どちらもそれほど良いものではありません。(当時実家は経済的に苦しかったのでこれはイヤと言うことは出来なかったのです。揃えて貰っただけでも感謝しないとね。ちなみに振袖以外の着物は全部自分のお給料で買いました。)娘もピンと来ないようだし。

でも着物って基本良いものは良いお値段だし、我が家で手の出る範囲で掘り出し物が見つけられればラッキー!なので早めに始動して予算が限られてるぶん、足と手間と時間をかけて探そう。とそんな風に思ってました。

絶対譲れない条件として。

  • 古典柄であること。今風の洋花がごちゃごちゃしていたり、ラメ入りの生地なんて問題外。
  • 娘の好みで赤や濃いピンクなどの派手な地色は不可。柄ゆきもあっさり目が娘の好み。しかし、ごっそり柄が入ってるモノと比べて貧相にはなっていないこと。すなわちセンスと品格が感じられるもの。
  • 手持ちの帯に合わせられるもの。帯はアタシがOL時代ボーナス2回分まるごとつぎ込んで購入したピンク地の唐織でかなり良いものなので、出来ればこれに合わせたい。
  • 奇抜ではないけれど、ありきたりでもないもの。
  • 娘に似合うもの。


でね、まだ買うつもりなかったんですが、ばっちり条件に合う振袖にめぐり合ってしまいまして、つーか母娘とも一目惚れしちゃったんだよね。
オマケにお値段が信じられないくらいの破格でして。普通に買ったら間違いなく、一桁違うはず。
あれ?下見のつもりだったんじゃないの?何?このバッグに入ってる注文票は?

地色は着物ではめったに見かけない薄いレモンイエロー。娘の大好きな色です。黄色系が好きな娘、出来れば黄色地のものを希望していたのですが、振袖って赤、黒、ピンクが圧倒的に多いので無理かもって言ってたんですよ。それなのに出会ってしまいました。娘のテンションめっさ上がってる。更にありがちな山吹とかじゃなく、現代的なレモンイエローってのがイイの。若々しくさわやかで清潔感があって、きりりとした印象がステキ。そこに藤の花が大ぶりに描かれているのですが、淡い色調なのですっきりとして派手ではないけれど伸びやかで動きのある人目を引く構図。更に唐織風の立体感のある手刺繍を施した花扇が袂の裏表、上前、上身頃、肩口から背、裾と全体にあしらわれています。パッと見はそれほど派手じゃないけれど、良く見ると非常に凝った手の掛かったものだと分かる振袖です。
予算的に厳しいのでは?と思っていた手描き、手刺繍。どしっりしっとりした上質な生地。新品、傷汚れもナシ。
そしてこのセンスの良い柄。なんと『美しいキモノ』にも良く載っている京の老舗「染の北川」の物だとの事。
こんな良い物がこの予算で見つかるなんてこれ買わなきゃ絶対後悔するよね?ね?ね?(誰に同意を求めてるんだか不明)

帰りにデパートの呉服売り場でいかにも〜な、賑々しい柄行きの振袖を何十枚も見ました。が、全然違う。5〜60万円前後からもっとお高い物まで、どれも高級なものばかりで華やかでとっても美しいんだけど、ウチのコ(もうウチのコ呼ばわり。すっかり愛着が)のがずっとカワイイよね!って母娘で再確認。もう惚れこんじゃってます。こーゆーのって出会いだと思うので、これで良かったんだと思います。






着物が届きましたので追加で写真あげてみました。けどやっぱこの手の光沢のある薄黄色って写真だと難しいです。反射で白っぽくなっちゃうのよ。本物はこんなもんじゃないんですけどねー。和刺繍の繊細で豪奢な美しさも実物をお見せしたーい!一針一針の手仕事の精緻な美しさが実物はハンパ無いんだもの。良い着物って手に取った時の質感からしてまるで違うのだけど、なかなかシロート写真じゃ伝わりませんね。