青春

夜のピクニック

夜のピクニック

恩田陸を読むのは六番目の小夜子ネクロポリスに続き三作目。
本当はネクロポリスよりも先に図書館で予約していたんだけど、予約がいっぱいでなかなか順番が回って来なかったのよね。それだけ評判の高い本ってことになるんでしょう。
ごくごく大まかな設定、高校の全校行事で一晩かけて長距離(70キロ)を歩く、そのスタートからゴールまでを描いた作品。てことは知ってましたが。
なーるほど良くも悪くも非常に少女マンガ的。登場人物は美男美女ばかりで、地方都市の進学校が舞台。なにしろ私立文系コースは「ころぶ」と称されてるんですが、その私立が慶応や早稲田だったりするってどれだけみんな優秀なのさ!?
正直学園ものの青春小説ならば、同じく地方のエリート校を舞台にしていても落ちこぼれな主人公のがんばっていきまっしょい(これは時代の匂いを共有できる部分も大きいんでしょうが)であるとかの方がまだ共感出来るんですよねえ。
と、まるで受付なかったかのような書き方をしてしまいましたが、それがそうでもなく、そりゃあアタシ少女マンガ好きですからね。って理由だけでもなく。
なにしろ作者の恩田さんの出身校の行事がモデルになってるらしく、この学校挙げての深夜行も当然恩田さんも体験されてることなんでしょう。描写にすごくリアリティがあって、ある意味ノンフィクション的でもあって。
これは多分恩田さんの自身の青春時代へのノスタルジーをこめた作品なんだと思うのですよ。青春小説っていい年をしたおじさんおばさんが読んでも、キュンと来るのってノスタルジーなんだろうなあ・・・。
アタシは作中の彼ら彼女らみたいな優等生じゃなかったし、全校挙げて〜なんて集団行動には拒否反応を示すようなタイプでしたけど、それでもなんかね、一気に読んでしまいました。
ま、鼻につくとこが皆無だったわけじゃないんだけどさ。もちろん主人公や登場人物が美男美女ぞろいの優等生ばかりってところもそうだし、他にも作中でナルニア国物語の話題が出てくるんだけど、それを子供の頃に勧められていたのに読んでいなくて高校生になってから読んで、とても面白かったのだけど、もっと幼い頃小学生かせめて中学生で読んでおきたかったと激しく後悔した。って部分だとか。恩田さんはこの夜のピクニックって作品も青春時代を過ぎてしまった人が読んで「10代でこの本に出会いたかった」とか思われたいのかな?なーんてことを思わされてしまったので。

これ今年映画公開されるんですよね。石田卓也くんはアルバイト探偵や今やってる某学園ドラマみたいな役よりも優等生タイプのちょっとストイックで不器用な役柄の方が合ってる気がするので結構楽しみ。青春映画ならイケメンやカワイコちゃんばっかりな方が絶対観てて楽しいしね。