源氏供養

源氏好きな方はご存知でしょうがそういう言葉があります。これは能にもなっていてそのあらすじは石山寺紫式部源氏物語を書いたと伝えられているところ)に参った僧が一人の女に呼び止められる。彼女は実は紫式部の霊であり、光源氏の供養をして欲しいと頼みお礼に舞を舞う。ってなものなのですが、元々はこのような艶っぽい話(戦時中は現代語訳を書いていた谷崎潤一郎*1など厳しい弾圧があったくらいですから)を書いた紫式部さん自身を供養するって裏の意味もあり、更に本来の源氏供養ってものは源氏物語にはまってしまった(僭越ながらアタシもその末座に連なる者なのでしょうね)読者、特に女性が自身の業や煩悩を浄化する為に源氏の書かれた本を漉き直して、そこに経文を書いて供養したことが始まりなのだとか。
三島由紀夫は源氏をテーマにした作品をいくつか書いていたけれど、三島の「源氏供養」は当時F先生に話を聞いて面白そうだから読んでみたいと思ったことも思い出した。「源氏供養」は三島の「近代能楽集」に収録されている?三島が能の世界を現代に移して彼独特のレトリックを駆使した作品で「葵上」は特に上演されることの多いものなのでご存知の方も多いのではないかと思うけれど、六条御息所が六条康子と言う名前で出て来たり、葵は精神病院に入院していたりするのですが、アタシが以前に読んだ「近代能楽集」には「源氏供養」が載ってなかったので未読だったりするのでした。三島全集を図書館で探せば読めるのかしら。三島の「源氏供養」には三島らしき作者自身も出てくるのだとF先生が当時言ってたように古い記憶を辿るとアタシは覚えているのだけど、この記憶が正しいものなのかやはり読んで確認しないことには・・・。今回ちょっと検索してみたら橋本治も「源氏供養」というタイトルの本を出しているのですね。これもやはりアタシは読むべきでしょう。

*1:ちなみにアタシは現代語訳ではもっとも原文に雰囲気が近く思われる対語訳の谷崎のものが一番好きです