悪人

非常に重くて暗い映画だとは聞いていたので覚悟して観たんだけど、ホントにズシーンと。
満島ひかりちゃん(結婚おめでとう!)が相当なビッチ役なんだけど、これが凄かった。岡田将生君もどうしようもなく嫌なヤツが板に付いてて、告白でのウェルテル役の時も思ったけどずいぶん上手くなったよねえ〜。樹木希林柄本明松尾スズキと適材適所つーか上手い役者ばっかりで。その中で主役の2人も負けずに存在感あったなあ。妻夫木くんの田舎のヤンキーあがりっぽいおよそイケテナイルックスの作り込みぶり。いつもの彼のオーラを消して、やさぐれた暗い表情での登場なので「あれ?妻夫木くん劣化した?」と思っちゃう位。深っちゃんも田舎町の冴えない女性で、そんな二人が惹かれあうって設定はありだと思うけど、自首しようとする祐一を引き止めて一緒に逃避行しようとするまでいきなりのめり込んでくってのがさー、いや、そういう行きずりみたいな出会いでも出遭ってすぐに魂が惹かれあうようなことが起こることもあるってのは理解できるけど、それにはちょっとこの部分の脚本が弱いように感じたかも。
光代の行動は多分に利己的で、相手を思いやるとかじゃなく、ただただ奈落の底に一緒に落ちていくような愛で。最後に祐一が捕まった後も光代は以前と同じ店に勤めて居て、殺人現場に花を手向けに行った時のタクシーの運転手に祐一のことを「世間から見たら悪人なんですよね」と言う時の表情にも開き直ったような強さを感じた。可愛そうな女なんかじゃない、何もかもを昇華させたような。女は強いよねホントに。