『今度は愛妻家』ネタバレしまくりです。厳重注意!

この映画ネタバレ厳禁だと思うのでまだ観てない人は読まないでね〜!







何を隠そう、薬師丸ひろ子角川映画時代の作品はほぼ劇場公開時に観てるアタシですが(80年代アイドル映画スキー)、この作品は映画館で最初に予告観た時は、あーアタシの苦手なタイプの話かも?って思って心の警報ランプがピコピコしたんで、当初はあんまり観るつもりなかったんだよね。だって薬師丸ひろ子が死んじゃうフラグ立ちまくりじゃん?そいで、ダメ夫のトヨエツが後悔するってストーリーなんでしょ?
なんか人の死で泣かそう的な映画は苦手だしなあ〜って思っていたんですが、あれあれ?そう来たか!まあ基本思ってた通りの話なんだけど、こーゆー見せ方&アイデアなのね!と。後半のネタバレ後、前半部のあれれ?って引っかかってたミスリードやら伏線部分が全部綺麗に繋がるストーリーテリングの妙。この脚本は元々舞台版があったそうで、なるほど納得、非常に演劇的なお話だった。舞台版だと水川あさみの役を真木よう子が演じたのね。それは観たかったかも。

と、ここまではどうでも良い話。本題はここから。

アタシの好きなバンドTheピーズの「マスカキザル」ってアルバムの中に「どっかにいこー」って曲がある。『頭冷やして 考えてみ あいつはいい奴だ 君にはあわないよ』って部分が未だにズキンと来ちゃうんだ。この詩を最初に聴いた時の気持ちを実は以前にも書いてるのだけどhttp://d.hatena.ne.jp/yukodokidoki/10000128/1240320416

夫はすっごく真っ当な人でアタシはてんでダメダメなんで、まるでアタシのこと言われてるみたいだな。って思ってしまうんだよね。たとえば毎年結婚記念日を忘れるアタシ、夫は毎年花を贈ってくれるのに。だけど、そんな真っ当な夫のことをうるさく思ったり、ちょっとあわないなあって思ったりしてる自分が確かに居て、夫には何の落ち度もないのに・・・って思うと自分のダメダメさにますますズブズブと心が泥沼化して、申し訳ないって気持ちと反面夫と疎ましく思う気持ちが自分の中でせめぎあってて。
アタシ達夫婦は夫に問題があってすぐには子供が出来なかったんだけど、それがわかるまでアタシはナイショでピルを飲んでいたこともあって、それは半端モノの自分が人の親になるってことにどーしても自信持てなくて逃避してたんだけど、だからこの映画の中のトヨエツが妻をないがしろにしたり、子作りに協力しなかったりするのが、まるで自分のことのように思えてヒリヒリしっぱなしつー。愛してないわけじゃないけど、同じ位うっとおしかったり、面倒だったりすることってあるよあるよ!なアタシなもので。

そいで何年か前、ウチの夫が40代前半でいきなり脳梗塞で倒れた時、アタシは「ああ、罰が当たったんだ。」ってバカなことを思っちゃって、夫には何の罪もないのにアタシなんかと結婚したばっかりにアタシの業を背負わせちゃったんだ。って・・・。
集中治療室で面会謝絶の何日間か、家にはまだ小さい子供が居て、病院に泊り込むことも出来ず、夜は不安で眠れないし、病院に行ってもアタシだけが1日15分だけ面会出来ても、夫はベットの上で丸太のように横になったままで。夫のこと愛してるのかどうか判らなくなってた時もあったけど、やっぱり愛してなんだなあ。って。若い頃のような無鉄砲で無軌道な愛じゃなくて、もっと穏やかで安心出来て、子供達の父親としての家族愛的な、そーゆーの。それにアタシはすっかり寄りかかって甘えていたんだなあ。って。失いそうにならないと判らないなんてどーしようもないよね。

夫は奇跡的に脳内に勝手にバイパスが出来て、数ヶ月の闘病後、ほぼ後遺症もなく回復したんだけど、未だに脳外科で定期的に診断を受ける日々。でも人って忘れるんだよね。一時どんなに反省や後悔をして人間の本質ってそんなには変わらないみたい。

そんなアタシにはこの映画は痛すぎて涙も出なかった。今夜はちょっと寝られそうにないです。