バラードはまだ聴けない

一晩寝て起きてもやっぱり夢じゃなかった。

睡眠不足と泣き過ぎでものすごい顔になってたけど、パックしていつもより気合入れて化粧してライブ用の香水も付けてから、サイケなオレンジのプリントのシャツに蛇プリントのスニーカーを履いて自転車でバイトに出た。
自転車のペダルを漕ぎながらRCの曲を口ずさんでまた泣きそうになったけど、我慢して職場に着いたらいつもの制服に着替えていつもどおり仕事して昼休みに休憩室でスポーツ新聞の一面になったキヨシローの記事みて、他の人達はなんか言ってたけどアタシは黙ってた。
キヨシローにこんな日が来るなんてこと、想像したくもなかったから極力考えないようにしてたんだけど、でも本当はずっと心配だったし、どんなに考えないようにしても心の中のどこかには常に予感があったように思う。
今まで生きて来て血縁者以外の訃報でこれほどの衝撃を受けたのは初めてで、アタシにとってキヨシローは本当に特別な存在だったんだなってつくづく思う。
15歳でスローバラードのスポットをラジオで聞いてから33年。ずっとずっとずーっと大好きでした。まだまだ冥福を祈るなんて神妙なこと言える気持ちにはとてもじゃないけどなれませんが、これからもずっと大好きです。愛してます!

今朝起きて来て泣いてるアタシを黙って抱きしめてくれたのは娘でした。娘も一緒に泣いちゃったけど。

大人になるって素敵なことだってキヨシローは言ってた。アタシってばいつも自分に自信がなくて素敵な大人になれてるとはまるで思えないんだけど、それでも10代20代の時の自分よりかは、もうすぐ48歳になる今の自分の方が好きだと思う。
それはこんなアタシのことを大好きで居てくれる存在があるからかもしれない。