バトンてさー。

昔々の大昔、当時勤めていた会社でお食事会があってちょっとこじゃれたステーキハウスに社内の方々と行ったのですよ。上司がご馳走して下さったのか、社内の福利厚生費流用だったのか、その辺はもうはっきりと覚えていないんだけどかなりお高めのお店でした。
焼く前の肉のかたまりを席まで持って来て、「これでよろしゅうございますか?」って聞くようなお店。
となると当然焼き方の好みも一人づつ聞かれる訳で、ほとんどの人が「普通に」とか「良く焼いて下さい」とか言ってる中アタシのみが「ベリィレアでお願いします」つっちゃったんだよね。昔っから良い肉は焼き過ぎないのが旨いと思ってるんで。血のしたたるようなステーキ大好き。したらばその場に「コイツ女の癖に生焼けの肉を食いやがるの!?つかベリィレアって言ってて恥ずかしくないのかね」的なしらっとした空気が流れたのですよ。20数年昔のやぼったい地方都市だもん。『ミディアムとかウェルダンとかレアなんて言葉は知ってても口に出すのは気取り過ぎてて恥ずかしい。』みたいな認識の方が一般的だったと思うし、生焼けの肉なんて食べたことがない人の方がまだまだ断然多かったんだよね。
その時アタシと同期の女子社員が「良くそんなもの食べられるわね。生焼けのお肉なんてキモチワルーイ!」と皆の心の中のツブヤキを実際の言葉にしてバシッと投げつけて来たのですよ。
そのあと頂いたお肉の味が美味しかったのかどうか全く記憶がありません。ていうか味なんて何も感じられなかったと思う。
彼女が生焼けの肉が気持ち悪くて食べられないこと事体は個人の嗜好の問題だから何も悪いことじゃない。でもそれと同じようにアタシが生焼けのお肉を好きなことだって何も悪いことじゃないはず。人が美味しいと思って食べてるものを面と向かって『気持ち悪い』と表現出来る感覚は未だに理解出来ないのだけど、それって想像力の欠落だよね。20数年経った今でも忘れることが出来ないのだからアタシもかなり執念深い人間だったんだなあ。
でも今思うと確かにあの集団の中ではアタシのみが浮いた存在だったことは理解出来る・・・けど。

バトンをスパムと同じと決め付けたり、不快感を表す人達が出てくることは容易に想像がついたのでビックリもしないし、それこそバトンのことをどう思うかは自由なんだけど、楽しんでる人の気持ちを萎えさせるような表現をわざわざ選んでしているとしか思えないような書き方をしてる人はやだよなあ。もぐもぐ(昨夜の残りの牛肉のタタキを食べながら)