はてなダイアラー絵本百選

「いないいないばあ」松谷 みよ子:ぶん/ 瀬川 康男:え ISBN:4494001015
アタシは小さな頃から本当に本が好きな子でした。文字を読めるようになったのも割合早くて2〜3歳くらいから自分で本を読んでいました。本好きなアタシの為に家には子供の本がたくさんありました。子供の頃のアタシはどちらかと言えばストーリーを楽しむ派で絵本よりも童話のような読み物が好きだったとずっと思っていたのでした。
夫婦とか家庭に夢がもてない少女時代を過ごしたアタシは子供も大嫌いでした。
父はかなりいろんな意味で問題の多い人でしたから母はいつも言っていました「離婚を考えたことも何度もあったけれどお前達(アタシと妹)がいたからずっと我慢していた」
アタシは母にとって重荷だったのか?望まれない子供だったのか?そんな風に思って子供を自分が産んで育てることなど夢にも考えられないとずっと思っていました。
いろいろあって、26歳で(一生しないと思っていた)結婚をし、30歳で子供を産みました。嬉しい気持ちもあったけれど、アタシに子供が育てられるのか?ちゃんと子供を愛してやれるのか?とてもとても不安で半端な母親でした。怖くて何度も夜中に泣きました。
アタシは自分の子供に何をしてやれるのだろうか?
アタシが子供にしてやれることで一番に思いついたのは本を読むこと。
妊娠中から何十冊も買い揃えお腹の中の赤ん坊に読んでやっている時は穏やかな気持ちで過ごせました。
赤ん坊特に0歳児の為に書かれた本は本当に少なくて作者の松谷みよ子さんも自分が母親になった時、赤ん坊の為の本があまりに少ないのでこの本を作ろうと思ったそうです。
長女を出産後、産院から帰って来てまだ目も見えているか耳も聞こえているのかもわからない頃から子供の横に寝転んで本を上にかざして毎日絵本を読んでいました。
読み始めて2〜3ヶ月過ぎ最初にはっきりと反応があったのがこの「いないないばあ」でした。
ページをめくるのを目で追い「ばあ」とやると体を揺らして喜んでいるような様子を見せてくれるです。ただにゃあにゃあやくまちゃんたちがいないないばあをするだけのこの絵本は下の息子も大好きで何百回読んでやったかわかりません。本人達も自分で本のページをめくれるようになると自分で「ばあ」と言いながら何度も遊んでいました。あまり何度も読んだのでページも全部バラバラになってしまい、テープで補修を繰り返しとうとう二冊目を買うくらいでした。
そうして毎日子供に絵本を読んでやっていると記憶のフラッシュバックというのでしょうか?絵本をめくる手元や読んでくれた優しい女の人の声、ちょっと不器用な男の人の声が心に浮かびました。アタシは母に聞きました。「お父さんやお母さんはアタシが子供の頃、アタシに絵本を読んでくれたの?」
アタシはなんて馬鹿な娘だったのでしょう。幼い子供が字を覚えるのに両親が本を読んでくれなくてどうして覚えられるというのでしょう?3歳で本が読めたのはその前に何度も両親がアタシの為に絵本を読んでくれたからに決まっているというのに。そう言えば小さい頃熱を出して幼稚園を休んでいると父が絵本を買ってきてくれました。
小学校に入って最初に漱石を買ってくれたのも父でした。
アタシが幼いころ我が家には毎月新しい絵本や童話が届いていました、それを手配してくれたのは母でした。
母いわく「お父さんも本の好きな人だったから生きていたら孫たちにもきっと本を読んでくれたと思うわよ」父はアタシが長女を妊娠中に亡くなっています。
アタシは子供に絵本を読んであげることで無くしていた何かを少し取り戻せたような気がします。

親が子供に本を読んであげられるのはわずかな期間です。そのうち子供たちは自分で好きな本を選んで勝手に読むようになります。
そのわずかな黄金の時のスタートに相応しい本として「いないいないばあ」をアタシは自信を持ってお勧めします。

そしてリレーのバトンはアタシが辞退したら書いてくださるはずだったid:senzaiさんにお渡したいと思います。